研究概要 Research Outline
我々の研究室では高電界・静電気工学をベースとして、高電圧で発生させる大気圧低温プラズマや、高電界現象を利用する環境改善技術・生物応用の研究を進めています。

放電プラズマ・静電気を用いた環境改善技術

放電プラズマ・静電気の生物応用

 はじめに

 高電圧・高電界現象を利用した環境対策技術に関する研究を行っています。現在社会的にも急務であるディーゼルエンジン排ガスの浄化、室内空気の浄化、有機溶媒や臭気物質の除去などに関する研究を行っています。

 放電プラズマを用いた化学反応誘起

 現在工業的に用いられている化学反応の殆どは熱による励起である。プラズマ化学反応は電子温度で10000K に相当するエネルギーを室温下で作り出せる特徴を有しており、これによって熱平衡では考えられないような化学反応を誘起できる可能性がある。本研究室ではこれまでに非平衡プラズマ化学反応の用途の拡張として、炭化水素(メタン)から炭化水素燃料(メタノールなど)の直接含成や、水からの過酸化水素の合成に成功している。このほかにも種々の化学反応を放電プラズマで実現が可能であると考えられており、これらの技術が従来の化学反応技術に代用が可能なプロセスに今後成長してゆくことが期待される。
 また、パルスストリーマ放電もしくは無声放電に伴う非平衡プラズマ中では多くのラジカル(活性種)が生成される。そのような点から本研究室では、非平衡プラズマによる化学反応を利用してディーゼルエンジン等の排ガス中の窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SO2)等の除去を行うガス浄化技術の基礎検討ならぴに開発研究を行っている。また、これらの技術は排気ガス処理に留まらず、揮発性有機化合物(VOC)の除去にも適用され、効果的に働くことが見いだされている。またプラズマ化学反応と特定の触媒を組み合わせることにより、プラズマ化学反応と触媒反応の長所を併せ持つ反応系を構築し得ることが判明したので、併せて研究を進めている。

KW : 放電プラズマ プラズマ化学反応 排ガス浄化 VOC 触媒

 電気集塵装置の開発

 電気集塵は直流コロナ放電により単極性イオンを発生させることでガス中に浮遊する微粒子を帯電させ、静電気力によって電極上に捕集するものであり、発電所の排ガス浄化をはじめ、多くの産業で用いられている技術である。電気集塵の、フィルター等では除去することが困難な直径数十ナノメートル程度の微粒子をも高い効率で捕集できるという特徴を利用して、ディーゼルエンジン排ガス中の粒子状物質を除去する技術の開発を行っている。

KW : 電気集塵 ディーゼル排ガス 微粒子除去