①【科学研究費補助金 若手研究(B)研究代表者(H21~H23)】

『概日リズムが確立する時期についての研究』
SCNにおいて、約24時間の自律的な周期リズムの発振が発生段階のいつ確立するかを、SCNスライス培養や各組織の顕微鏡観察で、神経細胞の分裂する様子を同時にみながら明らかにする。また、環境変化などの外界の刺激で、胎児や乳児の概日リズムの確立する時期や位相変化の機能が、どのような影響を受けるかを同様の手法で調べる。手法としては、細胞周期のS-G2-M期やG1期のタイミングが、緑色蛍光と赤色発光で観察できる組み換えマウスと、概日リズムの進行が緑蛍光、黄色発光リポーター遺伝子の発現でわかる組み換えマウスをかけあわせる。このdouble組み換えマウスのSCNスライスや各組織をイメージングし、細胞周期と概日リズムの進行を蛍光・発光量の時間変化で観察する。組み換えマウスの発生段階をおって、胎児、新生児、乳児、生体の細胞周期と概日リズムを観察する。
この研究で得られる、様々な環境下で自律的な周期リズムの発振が、発生段階のいつ確立するかという知見は、発生初期のいつごろに神経細胞の発火の刺激を与えればよいかという情報を提供するために、前述の調整費を用いて行う研究活動に役立つ。 (理化学研究所、東京医科歯科大学と共同研究)

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②【第 43 回(2011年度) 内藤記念科学奨励金(研究助成)】
【助成団体:財団法人内藤記念科学振興財団】
【助成対象研究:「概日リズムをコントロールするペースメーカー神経の探索とその調節」】
本助成金は,人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎的研究に独創的・意欲的に取り組んでいる若手研究者を対象とした助成金です。

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③【平成23年度調査研究助成金】
【助成団体:公益財団法人鈴木謙三記念医科学応用研究財団】
【助成対象研究:「概日リズムを考慮した糖尿病克服のための研究」】

本研究助成は、疾病の予防、診断、治療における医学、薬学、医工学及び関連書科学の医療への応用に関する調査研究に対して助成金を交付し,国民保険に関する科学の進歩及び国民の福祉の向上に貢
献しようとするものであります。

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④【第42回(平成23年度)三菱財団自然科学研究助成】
【助成団体:公益財団法人三菱財団】
【助成対象研究:「概日リズム発振の時空間的機能マップの作成とそれにもとづく生理活動の賦活,抑制」】

本研究助成は、科学・技術の基礎となる独創的かつ先駆的研究とともに,既成の分野にとらわれず,すぐれた着想で新しい領域を開拓する萌芽的研究に期待して助成を行う。また自然科学のすべての分野にかかわる,すぐれて独創的な研究を対象とするものです。

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⑤【2011年度 ライフサイエンス研究奨励】
【助成団体:財団法人武田科学振興財団】
【助成対象研究:「新規の観察系を用いたホルモン分泌の最適化をはかる研究」】
本研究助成は,医・歯・薬学系研究者を除いた生命科学研究者を対象に、人類の健康増進に寄与する生命科学分野の進歩、発展に貢献する独創的な研究を対象とするものです。

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⑥(財)千代田健康開発事業団 (H22~H23)社会厚生事業助成金制度『医学研究助成』
成人病、循環器系疾患などの原因となる健康問題が生じている。 本研究は、概日リズムを発
振する中枢である視交叉上核(SCN)や末梢組織のリズムが、リアルタイムでモニターできるトランスジェニックマウス・ラットを用いて、中枢SCNのリズムが乱れると、そのシグナルを受ける末梢神経や組織のリズムがどう影響を受け、その結果、摂食活動や脂質代謝なども乱れるかを調べる。高齢や生活習慣のみだれからくるSCNでの異常なリズムが、末梢組織のリズム異常としてアウトプットされ、肥満、高脂血症などの成人病の発症・進行に及ぼす影響を見ながら、どのタイミングで、睡眠から覚めて光を浴び、網膜からの光情報でSCNが刺激され、中枢リズムが動くと、肥満に関連する末梢組織の機能のリズムも動き、肥満が改善できるかを調べる。
これらの知見を用いて、実際に入院患者、高齢者の看護、介護の現場で、生活サイクルを調節し、予防医学に役立てたり、健康維持・管理の基盤構築を目指し、公衆衛生に寄与することを目的とする。

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⑦ (財)持田記念医学薬学振興財団 (H22~H24)研究助成金 神経の活動電位を外部から誘発し、求心性感覚神経障害を補完する化合物探索本研究は、わが国の高齢化社会の進展を鑑み、神経機能障害の機能回復をめざし、特に、求心性の感覚神経の障害で外界の変化に適応できない症状を改善するために、外部から照射する光の波長を制御することで、適切な神経細胞の活動を効率よく誘発させることをめざす。本研究では、変異を持っていない野生型のiGluR6に光感受性を持たせる新規化合物を合成・検索し、最終的にはマウスにこの化合物を静脈注射で注入し、光照射で神経活動を変化させる。この化合物は、求心性の感覚神経の機能不全を、ターゲットの神経に光照射し神経活動を誘発して機能を補完するという、新しい治療薬の開発につなげる。

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⑧ (財)豊秋奨学会(H22~H24)研究助成金 『概日リズム異常からくる生活習慣病を克服するための新しいリズム改善方法の開発』
本研究は、申請者が独自で開発した概日リズムを発振する中枢である視交叉上核(SCN)や末梢組織のリズムを、時計遺伝子発現をリアルタイムでモニターできるトランスジェニック(Tg)動物や所属する豊橋技術科学大学独自の高度なセンサーチップ技術を駆使することで、詳細に概日リズムを観察し、中枢SCNのリズムが乱れると、どのような経路でそのシグナルを受ける末梢神経や組織のリズムが影響を受けるか詳細に調べる。その結果、摂食行動や脂質代謝のリズムも乱れ、肥満、高脂血症などの成人病の発症・進行にどのように影響するかを明らかにする。次に、概日リズムが弱くなった状態で、どのタイミングで、光を浴び、SCNが刺激されて中枢リズムを動かすと、肥満に関連する末梢神経や組織のリズムを効率よく改善できるかを調べる。外界の光条件に関係なく中枢SCNのリズムをずらす手段として、1)独自で開発した光照射により神経活動が調節できるシステムで伝達経路の神経を直接刺激する、また、2)センサーチップ技術による伝達経路の神経を電気刺激する、3)光刺激情報を受容する網膜のたんぱく質の機能をRNAアプタマーで一時的に阻害することを行う。

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⑨(財)上原記念生命科学財団 (H22~H24)研究助成金 『外部制御型概日リズムモデル実験系の構築』
24時間周期の概日リズム異常が、肥満、糖尿病など成人病の原因となる。リズム発振の中枢視交叉上核(SCN)や各組織のリズムがモニターでき、同時に光照射で神経活動が変化させうる独自の実験系で、中枢のリズムの乱れが、末梢神経や組織や、脂質代謝や糖新生・分解のリズムへの影響を調べる。さらに、神経の光刺激により上位リズムを動かすと、末梢組織の機能のリズムを改善できるかを試す。

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⑩(財)光科学技術研究振興財団 (H22~H24)研究助成金 『概日リズム中枢である視交叉上核(SCN)の左右対称に同調する機構解明』
本研究は、LiGluR6を用いた光刺激をSCNへの刺激を左右非対称的におこない、左右の対象性を壊しリズム変化を観察する。一般的な伝達とは異なる離れた細胞間または分子間の情報伝達モードをしらべるため、第3脳室という空間で仕切られ、離れたSCNの左右の構造体に注目し、左右がシンクロしあう連絡はあるのか、それならば伝達手段はどのような機構であるのかをリアルタイムでかく乱を与えながら、探索する。
(基礎生物学研究所と共同研究)